建築業界に関わる方でなければ、普段断熱材がどのように施工されているのか考える機会はなかなか少ないのではないかと思います。
今回はセルロースファイバーの施工工程について解説します。
断熱材の施工方法の多様性
実は断熱材の施工方法は断熱材の形状によって決まっていきます。
例えば、グラスウールなどに代表されるマット・ボード上の固形断熱材を内断熱で木造住宅に施工する場合、壁は間柱の間にピッタリはまるように
現場で適宜カッターでカットしながら形を整えて、隙間にはめ込むような形で施工していきます。
一方、セルロースファイバーはマット・ボード状断熱材のような形がないため、こういったはめ込むような施工はできません。
セルロースファイバーでは施工箇所や内容に応じて吹き積もらせ工法、吹き込み工法あるいは接着剤による吹付工法かのいずれかの方法で施工します、
セルロースファイバーの施工方法の種類について詳しく知りたい方はこちらのリンクをクリックしてください。
今回こちらのコラムではマツナガで最もポピュラーな吹き込み工法の施工工程について解説します。
(マツナガではメーカーと共同開発した独自のセルロースファイバーを使用しており、他と区別するためにMSグリーンファイバーと呼んでいます。)
MSグリーンファイバーについて興味のある方はこちらをクリックしてください。
断熱施工の品質維持とマツナガのアプローチ
先ず本題に入る前に、断熱材について語る上で最も重要なことがあります。
それは断熱材本来の性能を100%発揮するためには、「隙間なく連続して施工する」断熱施工品質が不可欠ということです。
例えば、高性能な冷蔵庫を購入しても扉がわずかに開いていれば、冷気が隙間から漏れて中の食材は保冷されないイメージと言えばわかりやすいでしょうか。
断熱材も同じことで、もし断熱材を施工したとしてもそこにわずかでも隙間があればそこから熱の出入りが発生してしまいます。
実際に断熱材の隙間率がたったの5%あるだけで本来の性能の56%に半減するという検証データもあります。
断熱材の施工精度と断熱効果の関係について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
そんなことからマツナガでは断熱施工の品質を確保するために、完全自社社員による責任施工を徹底しております。
嬉しいことに1984年創業当時と比べると、セルロースファイバーの知名度はだいぶ広がり、一部では「最強の断熱材」という
ありがたい評価を頂いていますが、それも施工品質が伴ってこそといえます。
セルロースファイバーの施工手順
さて、本題に戻りまして、下の写真は実際にセルロースファイバーを壁に充填施工する様子を撮影したものです。
先ず、施工箇所の間柱の間にセルロースファイバーを充填するためのMSシートを張っていきます。MSシートは空気だけが通り抜けるような構造になっているので、
60kg圧/㎥という超高密度で入ってくる断熱材をこのシートでしっかり受けて、筋交いや配管回りやコンセントボックスなど、
マット・ボード上断熱材の施工ではなかなか処理が難しい箇所についても隙間なく断熱材が入りこむようになっています。
ちなみにですが、MSシートのMSはマツナガの沈下対策用麻入りセルロースファイバー「MSグリーンファイバー」<を意味しています。
細部への配慮とこだわり
MSシートを貼った後は、断熱材を吹き込むホースが入るよう切り込みをあけて、専用の機械で隙間なく充填していきます。
充填している際もしっかりと隅々まで断熱材が入っているか、マツナガの正社員が常に確認しながら「自分の家のつもりで」丁寧に施工していきます。
充填完了後はホースを入れるために開けた切れ込みから断熱材が漏れることのないように、上の写真のように基本的にシートでひとつひとつ丁寧にフタをしていきます。
このシートでフタをするというひと手間もマツナガのこだわりです。この切れ込み穴をテープで塞ぐような施工も中には見受けられますが、テープですと経年劣化で粘着力が弱まりテープがはがれてそこから断熱材がこぼれる恐れがあるかもしれません。
マツナガの施工ではそういった細かな部分も配慮して、断熱施工にこだわっています。
写真は壁の施工の様子を撮影していますが、同じような方法で勾配のある屋根等にも施工することが可能です。
屋根の場合はMSシートが張れるような下地を準備してから施工をしています。
全ての断熱施工が完了したのち、マツナガではお客様により安心していただけるような取り組みの一つとして、創業当時から施工報告書も作成してお渡しさせていただいております。
セルロースファイバーの新しい需要と可能性
セルロースファイバーの施工は単に断熱材としてではなく、その防音性能を高く評価され、防音材としても採用される事例が増えています。また最近では新築工事だけではなく既存住宅の断熱改修でも、需要が急速に高まってきております。
従来、断熱改修というと壁・天井・床を骨組みのところまで全部はがすスケルトン工法が一般的でしたが、マツナガでは完全なスケルトンにしなくても断熱リフォームができるご提案もさせていただいています。