シロアリ
シロアリは、木材の成分「セルロース」を食べて生きています。セルロースは地球上で最もたくさんある炭水化物なのですが、分解困難で、多くの生き物はセルロースを餌とすることができません。しかしシロアリは、お腹の中にセルロースを分解できる原生動物を共生させており、食物競争にも巻き込まれず、繁栄を続けてきました。
天敵は黒アリです。つまり、シロアリは黒アリに食べられることによって、間接的にセルロースをクロアリの餌にしている、「食物連鎖のスタート」を担っています。ということは、黒アリよりもよっぽど数が多くなければ種を保てません。シロアリが「地球上で最も数が多い昆虫の一種」と呼ばれているゆえんです。
わが国で、木造住宅を加害するシロアリは、「地下シロアリ」と「乾材シロアリ」に区分することができます。「乾材シロアリ」は別の項で見るとして、ここでは「地下シロアリ」について見ていきましょう。
地下シロアリ
働きアリが土壌から侵入してくるシロアリです。わが国で木造住宅を加害する種は「イエシロアリ」と「ヤマトシロアリ」が重要です。
イエシロアリ
“世界最強”の呼び声も高いシロアリです。地中や建築物の中に塊状の巣を作り、数万~100万頭という大きな集団で加害します。水を運ぶ能力に長け、乾いた木材も簡単に食べていきます。分布:関東以西の太平洋沿岸に分布しています。群飛:6~7月の風の無い夕方から夜にかけて、数千~数万頭がいっせいに飛び立ち、電灯などに集まります。
ヤマトシロアリ
土中や木材の加害箇所を巣とします。多湿なところを好むため、台所や風呂場などの水場周りに被害が多く見られます。寒さに強く、地球で最も北に生息しているシロアリです。
分布:北海道北部を除く、日本全国に分布しています。
群飛:4~5月の雨の日の翌日の晴れた日の午前中に数千頭がいっせいに飛び立ちます。
カンザイシロアリとは
乾燥材を加害し、家屋の屋根裏、窓枠や柱、畳、時には家具からも発生します。加害材の孔から、乾燥した俵状のスジの入った砂粒状の糞を排出します。
地下シロアリと違い、乾燥材にほんのわずか含まれる水分だけで生きることが出来るので、蟻道を作らず加害場所が巣を兼ねます。そこから羽アリとなって飛び立つので被害は家全体に広がり、巣をたくさん作られるので駆除は困難を極めます。