コロナの影響により、以前よりもお家時間が増え自分のプライベートや趣味の時間に力を入れる方が多くなりました。最近では音楽や動画配信を周囲や時間を気にせずに楽しめるように「ミュージション（ミュージック＋マンション）」といった名前の物件も注目を集めているようです。そういった中で調湿性能や防音効果のあるセルロースファイバーを使って、今住んでいる間取りの一部をDIYで防音室にしたい、自分で自宅の断熱改修をしたい、趣味のDIYで作る家にセルロースファイバーを使ってみたいと考える方もいらっしゃいます。今回はセルロースファイバーでDIYは実際に可能なのかを解説します。
海外ではDIYが主流
実はセルロースファイバーは海外（主に欧米や北欧）ではとてもポピュラーな断熱材です。その理由はセルロースファイバーが天然素材由来でエコな断熱材であること、また海外ではセルロースファイバーをホームセンターで購入することができ、そこで吹込み用機械もレンタルすることが出来るからです。このような吹込み用機械のレンタルサービスがあるのは、海外では文化的に既存住宅をDIYでリフォームやリノベーションして長く持たせるという需要が高いからです。このような文化的な側面と調達のしやすさが相まって、海外ではDIYでのセルロースファイバー施工が広く普及しているといえます。
国内でDIYが難しい理由
海外では普及しているDIYでのセルロースファイバー施工。理論的には国内でもセルロースファイバーの施工をDIYでできそうですが、実際は以下の３つの理由で難しいのが現状です。
セルロースファイバーの材料と吹き込み機械の調達が難しい
海外と違い、国内ではセルロースファイバーの取り扱いをしているホームセンターが少ないです。もし材料を仕入れる場合にはセルロースファイバーを扱っている建材屋などから直接仕入れなければなりません。また、吹き込み機械のレンタルサービスを国内で提供しているお店も少ないため、ほとんどの場合、機械を調達するには購入しなければなりません。その場合、費用が高額となり、維持管理の必要性も生じます。
セルロースファイバー自体を作るのもただ新聞紙を砕けばいいという話ではない
セルロースファイバーの原材料は新聞紙をリサイクルしたものですが、手元にある新聞紙から手作りでセルロースファイバーを製作する方法があるかというと現実的にはかなり難しいです。先ず新聞紙を繊維状になるまで細かく砕く作業が必要であり、それも何百kg（場合によって1t以上）と大量に用意しなければなりませんし、施工するまで水に濡れないように保管できる場所も確保しなければなりません。また、防火性能と防虫効果（シロアリやゴキブリの温床とさせないため）を高めるためにも、均一にホウ酸を混ぜ込む必要があります。これは専用の機械を使わなければ現実的には不可能と言わざるを得ません。市場に出回っている国産のセルロースファイバーはJIS規格の基準を満たすようにメーカーが生産しています。
断熱材の施工に必要なのは材料と道具だけではない
快適な暮らしを実現するためには、断熱材はただ施工すればいいというものではありません。誤った知識で断熱材を施工すると十分な断熱効果を得られないばかりでなく、木造住宅の耐久性を落とす結果になりかねません。特に欧米諸国よりも湿気の多い日本ではいかに結露やカビを防ぐかを建築設計段階から考えることがとても重要となります。住んでいる地域によって必要な断熱材の厚みや、防湿層が必要なのか（これはどのような外壁面材を使用するかでも違います）も変わってきますし、通気層はどのように設置するかなど、網羅すべき内容は多岐にわたります。また、比較的施工しやすい天井断熱の吹き積もらせ工事であっても、気流止めのチェックや照明関連に対しての適切な処置などが必要となります。また、吹き込み工法では壁の柱の間に張るシート張り技術や、隙間なく充填する吹き込み技術と沈下を防ぐための工夫が求められ、これは一朝一夕で習得できるほど簡単ではなく、きちんと施工できるようなるには相応の経験が必要となります。
もしセルロースファイバーを使うなら専門業者へ
上で記載した理由から、もしセルロースファイバーを断熱材として採用するのであれば自分で施工しようとするよりも専門業者にお願いしてしまった方が、トータル費用と手間のバランスを考えても得策であると言えます。実績のある専門業者にお願いすることによって、セルロースファイバーのもつメリットを最大限享受することができます。どうしてもdiyで施工することにこだわるならば他の断熱材を検討した方がよいかもしれません。
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