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熱交換換気システム導入で失敗しないための注意点

昨今、電気代が年々高くなっていますが、国も2050年カーボンニュートラルの実現に向け住宅のエネルギー消費を減らそうとする取り組みを加速させています。2025年の断熱等級4義務化、2030年の新築全棟ZEH目標を掲げているのもその一環です。そして、住宅の性能が高まっていくと住宅全体の熱ロスに占める換気の割合も高くなっていきます。そんな中、熱交換換気は、高性能住宅に導入する換気システムとしてエネルギー効率を高め、快適な室内環境を実現することができると注目されています。しかし、導入に際しては注意すべき点がいくつかあります。本記事では、熱交換換気システムの基本的な概念から、換気システムの種類、熱交換の方法、導入時の注意点、さらに省エネ効果を高めるための第3種デマンド換気システムについても解説します。

 

そもそも熱交換換気システムとは

熱交換換気システムとは、室内の汚れた空気を排出し、新鮮な外気の温度を利用して室内の空気を調整する24時間換気システムの仕組みのひとつです。24時間換気システムは2003年の省エネ基準法改正により、すべての住宅に設置が義務化されました。熱交換換気は、エアコンの冷暖房エネルギーを効率的に使用し、室温を一定に保つことができます。主なメリットは熱交換することにより熱ロスを抑えることと、冬の冷気や夏の外気が直接入ることがないので、暮らしの快適性につながるという点です。

 

換気システムの種類

熱交換をはじめとして換気システムは一般的に下記の3つに大きく分けられます。

 

第一種換気

給気・排気ともに機械換気を用いるシステムです。

熱交換換気の代表的な手法で、全熱交換器や顕熱交換器を使用し、効率的に室内の空気を換気しながら熱エネルギーを回収します。

第二種換気

給気は機械換気、排気は自然換気を用いるシステムです。

病院など特定の施設で使用されることが多い換気手法です。

第三種換気

給気は自然換気、排気は機械換気を用いるシステムです。

住宅の気密性能が重要で、計画通りに換気を行うためには適切な気密性が求められます。

第四種換気

給気と排気、両方を自然換気でまかなうシステムです。

居住空間内の温度差を意識した設計することによって、機械に頼らず空気を循環させます。

ファンを動かす電気代がかからないのと換気システムの故障リスクがないのが特徴です。

第四種換気について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

 

住宅で採用されるほとんどは第一種換気と第三種換気となります。

また、同じ第一種換気や第三種換気でも商品によって壁に直接換気扇を取り付けるダクトレス(パイプファン)のタイプとセントラル方式のダクト式タイプがあります。

ダクトレスタイプははダクト配管が不要で設置・施工が容易ですが細かな換気風量の調整が難しく、開口部の数も多くなります。

一方でダクト式タイプはダクト配管の施工が必要な分コストはかかりますが細かな換気風量の調整がしやすく外観の意匠的にも開口部の数も少なくすみます。

 

熱交換の種類

熱交換にも以下の2つの種類があります。

 

全熱交換器

熱と湿気の両方を交換することで、室内の温度と湿度を安定させ、快適な室内環境を維持します。

顕熱交換器

熱のみを交換するため、外部の湿気を取り込み、乾燥を防ぎ、特に寒冷地での体感温度低下を防ぐために使用されます。

また湿気だけでなく臭いも回収しないためペットのいるお住まいにはおすすめされています。

 

熱交換換気の注意点

省エネ性能があると評価の高い熱交換換気システムですが、カタログの熱交換率・熱回収率を

実現するためにはいくつか気を付けなればいけないことがあります。

導入する際には、以下の6つのポイントに着目してください。

 

住宅の気密性

気密性が低い場合、漏気による熱ロスが増えるため、熱交換の効果が十分に発揮されないことがあります。

気密性を高めることで、システムの性能を最大限に引き出せます。逆に気密性が低いとかえって増エネになる恐れがあります。

 

局所換気による熱損失

トイレなどに局所換気を採用した場合、そこでは熱交換が行われず、熱損失が発生します。

その場合全館換気を検討するか、局所換気の使用を最小限に抑えることが有効です。

 

エネルギー消費の増加

熱交換換気システムというと冷暖房エネルギーの省エネに注目しがちですが、

換気ファンのエネルギー消費自体は第3種換気と比較して、給気と排気の2箇所となるため増加します。

特に真夏や真冬以外の中間期ではファンの動力がエネルギーを消費するだけになり、運用コストに注意が必要です。

 

暖房方式の影響

暖房方式(連続運転か間歇運転か、全室暖房か個別暖房か)の組み合わせによって、熱交換システムの効率が低下する可能性があります。

暖房計画とシステムの適合性を確認することが重要です。

 

デフロスト運転

地域によって寒冷地では、デフロスト運転により熱交換が一時的に停止し、エネルギー消費が増加することがあります。

この点についても考慮する必要があります。

 

定期メンテナンスの重要性

定期的な機器の手入れを行わないと、目詰まりなどにより換気性能が低下し、システムの効率が落ちる可能性があります。

フィルター掃除の手間や部品交換のコストについても考慮する必要があります。

メンテナンスのことを考えると理想としては本体点検口の位置は天井よりも床に設置出来た方が好ましいでしょう。

 

MSデマンド換気システムの紹介

第3種なのにしょ

熱交換換気は、給気と排気の熱を交換することで省エネを実現しますが、換気の省エネ性能をあげるもう一つの手段として、MSデマンド換気システムがあります。このシステムは、湿度感応型ナイロンリボンセンサーを搭載し、人がいない時や冬の寒い時期に換気風量を自動で減少させるので、換気による熱ロスを最小限に抑えることができ省エネを実現します。省エネや冬の乾燥が気になる方は、こちらのシステムも検討してみると良いでしょう。

 

まとめ

熱交換換気システムは、エネルギー効率の向上と快適な室内環境の実現に寄与しますが、導入にはいくつか注意点があります。住宅の特性や使用条件に応じた適切な計画設計と運用が必要です。専門家のアドバイスを受けながら最適なシステムを選定し、長期的な快適さと省エネ効果を実現してください。

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