地球の使い方マニュアル
「自然資本の経済」という本を読みました。
その中でとても印象の残った文章をご紹介したいと思います。
「地球でどう生きてどう活動したらよいか」という内容を次のようにユーモアたっぷりにマニュアルとして表現されています。
1、地球という惑星は完璧に正常な状態で配達された製品ですから、製品の交換に応じることはできません。
2、サーモスタットや大気は再調整しないでください。コントロールスイッチは工場ですでに設定済みです。
3、生物圏は徹底的な製品検査を実施し、その開発には試運転も含めて30億年の期間が費やされています。動力は維持管理の不要な核融合エネルギーで、今後50億年間は安定供給される見込みです。
4、空気と水の供給は限られており、代替できません。定員をオーバーしない限り、自動的に循環され、浄化されるようになっています。
5、地球に乗船されたお客様には生命がお一人につき一つしかありませんので、尊厳をもって丁寧にお取り扱いください。各生物の誕生、操作と維持、処分については、思いやりのある手続きがすでに用意されており、その手続きは、完全に自動作動するコンピューター言語にコード化されています。万一この手続きを紛失したり、損傷されたとしても、再発送には時間がかかりますのでご了承ください。
6、多数のお客様が地球に乗船し混雑がひどい場合には、緊急マニュアルに従って、異物や有毒物が空気Yは食料や水に混入しないように警戒を怠らないようにお願い申し上げます。
今の地球は正しい使い方をされているのでしょうか? とても考えさせられます。
この本は出版から10年以上経っているにもかかわらず、内容は全然古びれておらず、この10年間、環境問題の解決についてあまり進展していないということを意味しています。
訳者があとがきで述べているのは、20世紀はどんな世紀だったのかという説明で、「経済発展・成長の世紀」と表現しています。なぜこのような成長が出来たのかというと、電力と石油の発見があったからです。「電力・石油の世紀」ともいえるでしょう。そしてそれを更に言い換えれば「二酸化炭素排出の世紀」と言う事ができるのです。
人類は20世紀という世紀で自然資本を消費してきました。本文では「自然資本主義」経済を訴え、多くの事例を挙げて、自然資本の消費=大量消費大量生産の社会が引き起こした多くの問題(今の資本主義の限界を感じます)について発想の転換や人間性を重視することによって解決できる例などを挙げて目からうろこの考え方が多く紹介されていてとても興味深く参考になる内容でした。