JBN北米住宅産業研修ツアー③
断熱屋のぼやき
3日目です
「サブプライム以後の米国工務店の生き残り方法を理解する」
個人工務店であるBrighten Home John P. Pyles氏の講演。
最盛期は年に12棟だったが、ここ数年は2棟~3棟に縮小しながらも家作りを続けている。受注については、特に宣伝等はなく、口コミでつながっているそうです。現在はリタイアした夫婦というコンセプトの家を得意にしている。建売と言っても我々が考えるような日本の建売ではなく、工務店や開発者が独自のコンセプトとデザインを用いて住宅造りを行い、出来上がったものを気に入った人が購入するというスタイル。
利益は現在で15%くらいだしているが(但し彼自身が自分で工事を行ったりしてその他の経費分を稼いでいる。それを含めた利益)他は5~10%でやっているのではとの事。最大で25~30%とった事もある。棟数が多い時はサブコンストラクトを雇い基本的にずっと一人でやってきた。
ポイントは価格が安いことが重要で、彼はいわゆるローコスト系。新しいことや高性能住宅などはコストアップになるのでやらない。
アメリカでは車などもオーダーするのでなく、自分で気に入ったものそのものを購入することが多いとの事。米国では既成のプランニングされた図面を購入して建てることもよくあるそうですが、Johnは人があまり購入しないような条件の悪い土地を購入し、そこを創意工夫した設計で住宅を建てて売るのを得意としているとのこと。(そうやって自分の利益をたたき出している)
昨日の講義でもあったが、米国では銀行にローンFeeを払うことで、直接お金の貸し借りなしに建築が可能なことが特徴。こういったシステムは日本にはなく、日本では個人補償で資金を工面しなければならない。まさに企画に対して銀行や投資家が投資をするという感覚で資金を調達するので起業もしやすいというのもよく理解できます。社会的な仕組みが大違いである。しかしこればかりは仕組みがないと難しい。
「住宅現場の見学」
Orencoというポートランド郊外にある新興住宅地でLegend Homesというハウスビルダーさんの現場を見学。かつては年間400棟を建設していたそうですが、親会社の倒産とこの住宅事情により倒産し現在再起中。今年は65棟だそうです。
(1)構造躯体完了、(2)設備機器完了、(3)気密検査、(4)最終検査のそれぞれの工程の見学を行った。
このようなインスペクションシートがあり、この建物は29項目の検査が行われる。1回に2~3個の検査が行われるので、計10回は検査が行われる。朝までにエントリーすれ、次の日の朝には検査可能との事。検査の際に、ビルダーが立ち会う必要はなく、勝手に現場に来て、きちんと図面とおりに出来ているかを確認していくとの事。この検査に通らないと次の工程にに進むことができない。検査員は、構造、空調機械設備、水道設備、電気設備の4つの専門の検査員がそれぞれ自の検査範囲を検査を行う。
壁の断熱材の充填状況。GWブローイングが施工されていた。2×4材のあいだをコーキングして気密を確保している。防湿フィルムは無く、湿気は合板から外に逃げていくので大丈夫だと言う。本当に大丈夫かな~~??
そして最終検査の現場。 クオリティーマネージャーのキャロル氏の説明。引渡しの10日前に最終のチェックを行い、5営業日前にはお客さんと一緒にチェックして、引渡しまでに直して引き渡すとの事。
3日目は以上でした。