「住まいと健康」「スマートウェルネス」シンポジウム
断熱屋のぼやき
3月はシンポジウムラッシュ。
前半に断熱と健康の関係を考える2つのシンポジウムが有りました
断熱性能の向上が、省エネ以外にも効果がある事を実証しようとしている活動で、双方とも医学の見地からも検証しているのが特徴です。
実際に様々なデータがあり、入浴中心愛停止状態発生のデータから、冬に発生が多く寒さが影響を及ぼしていることがわかります。ところが都道府県別にみると実は北海道は少なく、断熱のレベルが高い北海道の室内は暖かく、断熱性能を上げることで冬のヒートショックを減らせる可能性が高いことがわかります。
そしてスマートウェルネス住宅開発委員会。
苅尾先生の発表で血圧で大変興味深い話があり、血圧でとても重要視すべきなのは早朝高血圧(モーニングサージ)という新しい話がありました。下図右側のデータの通りモーニングサージが高くなればなるほど血管系疾患のリスクが上がるとの事。なぜこれが大事なのかというと、診察時のような平時では高血圧の兆候が少ない場合もあり、そしてこのモーニングサージのコントロールが一番難しいのだそうです。このモーニングサージも夏冬の季節間変動が大きく、室温が大きな影響を与えていることから、住宅性能が上がり住居温度環境が改善することでこのモーニングサージの改善に期待できるのです。
続いて伊加賀先生の公演では、断熱性が高い住宅の方が室温が高く維持出来ていて、室温が高くなると血圧が下げられる結果が出ている。
特にすでに高血圧になった人にとってはその効果はもっと大きくなる。
また暖かい住宅の方が睡眠がよくなる事が調査からわかり、おそらく血圧にも良い影響があると想われるとのこと。
また室温変化や室間温度差が大きいと身体活動量が減少し、室内温熱環境が良くなると身体活動量が上がることる事が予想される事から、下記データの通り握力や活動量の向上が確認された。握力の向上は筋肉量の増加につながり、つまづき等の家庭内事故の低減に影響を及ぼし、ちょっとした事故で寝たきりなど担ってしまう可能性を減らせ健康寿命の遠心に繋がります。
そして、調査から寒さ改善による健康寿命の延伸が4歳も有るそうです。
こちらは高橋龍太郎先生の発表で、海外で約1000件の断熱改修と健康仕様の調査をした事例があり、断熱改修の結果病気で休んだ日数が減少することがわかっている。
また健康長寿住宅エビデンス取得委員会のデータでも、断熱リフォームの前後でのモーニングサージが抑制されたデータが示されました。
以上を簡単にまとめると、
断熱性能をよくすると
1、省エネ→光熱費の削減
2,疾病予防→アトピーや風邪など日々の医療費が削減
3,介護予防→健康寿命の延伸(ヒートショックによる血液系疾患やつまづきなど家庭内事故のリスク低減)
と大きな効果があるということです。
最後に関連リンク紹介しますのでご興味有る方はご参考下さい。
リーフレット「住まいの暖かさが高齢者の健康に好影響!!」
住まいと健康を考えるシンポジウム資料