パッシブ技術研究会2月勉強会「住いの健康とパッシブ換気」
断熱屋のぼやき
先月27日パッシブ技術研究会の2月勉強会がありました。
第一部は国立保健医療科学院の統括研究官、林元哉先生の講演で、テーマは「住いの健康とパッシブ換気」〜シックハウス方施行10年以上を経て改めて換気を考える〜です。
冒頭に、かの有名な吉田兼好の「家の作りやうは、夏をむねとすべし」という文言が、日本の伝統的生活文化・住宅の踏襲につながり、それが冬季の悪い室内環境による不健康につながっている。北海道の住宅は明治以降寒地(欧州)文化を取り入れ冬対策を行った結果、冬の室内は北海道が最も暖かく、脳血管疾患や心疾患の死亡率が顕著に低いことから証明されています。
続いてシックハウスの背景や法制定の背景、発生源対策と換気対策について行われた様々な検証について説明がありました。
特にシックハウス対策に関する現在の課題として、
1,カビ・ダニ調査で常時運転をしていたのが30%しかなく機械換気の実効性が得られていない可能性がある
2,ホルムアルデヒド発生は、5年以上持続性を持っている(初期の発散で終わらない)
3,ホルムアルデヒドが無くなることでカビ等生物汚染の影響が増える
といった指摘もありました。
それか各種類の換気による特徴の説明がありました。
換気性状としては第一種型換気が優れているものの、メンテナンスが適切にされないと全て台無しになってしまう。パッシブ換気は夏季・中間期の住い手の工夫は必要だがそれが可能なら、とても優れたシステムであることが説明されました。特に壊れない、止められないと、機械換気は実際に止められてしまうリスクがない事は大きなメリットになります。
最後に林先生の自宅のパッシブ換気リフォーム例とその効果について紹介され参加者の高い関心がありました。
その後、パッシブ換気でモデルハウスを建てられた(2棟目)コンクスハウジングの熊井戸社長から、体験談ととても快適だという感想の話があり、続いて私から、この冬のパッシブ換気の実測の紹介がありました。太陽熱集熱パネルの性能が十分発揮されていることや、パッシブ換気の室内環境が良好でCO2濃度も十分低く確保されており換気がちゃんと行われていること、全館暖房で温度差がとても少なくしかも暖房費が少ない結果がでた事の発表をさせていただきました。
第二部は場所を移動して大泉パッシブプロジェクトの現場見学会を行いました。
温暖地で3棟目になるパッシブ換気の住宅でかなり突っ込んだ測定検証を行う予定です。
参加者全員改めてパッシブ換気の高い快適性と性能を体感し、驚きの感想を頂きとてもよい見学会となりました。
東洋大学名誉教授の土屋先生も駆けつけて頂き、その後の懇親会まで活発な意見交換がありとても内容の濃い勉強会となりました。