海外研修先下見視察②
断熱屋のぼやき
続いて場所を移動してこちらはデンマーク
宿泊したシルケボーのホテル。とても綺麗な色あいです。
まずベンチ社へ訪問。簡単な打合せをして工場視察。
こちらは新しく非住宅用のソーラーウォーマー
非住宅では学校やブール、乾燥工場など様々な実績がある。カナダでバスターミナルに使用されたり、グリーンランドの博物館では15年前からソーラーウォーマーだけで暖房している実績もあるとのこと。
各国各種メーカー製品を並べて評価。
いずれの製品もソーラーウォーマーには性能でかなわないことが確認されています。
現在この非住宅用のシュミレーション設計用プログラムとしてはドイツのTSOLとカナダのRETSCREENという2つのプログラムが有るとの事。TSOLの方がお薦めだが有償、RETSCREENは無償。今後田島先生と検証をしていきたいと思います。
また、ソーラーウォーマーの夏の利用でデシカント空調の除湿に使える可能性があり研究中との事です。
デシカントは除湿の時に吸湿した湿気をヒーターで乾燥させるために大きなエネルギーを使いますがここにソーラーウォーマーが使えれば大きな省エネが図れることになります。こちらも今後検討&研究していきたいと思います。
そして今回得た知見で、除湿という観点から見た使い方の場合風量がとても大切ということがわかりました。例えば、地下室の除湿で考えた時、風量が少ないと吹き出し口近辺で湿気を吸収した空気が、室内を移動して外へ排出される前に、温度が下がってしまい折角吸収した湿気が室内の別の場所で放出されてしまうため、逆の別の場所での結露を増長させてしまうというように返って悪影響を及ぼす可能性が高くなるそうです。最近安い中国製に悩まされているが、やはり風量が少ないためこういった問題が多く発生しているそうです。
穀物乾燥等の事例でもやはり乾燥を考えた場合は十分な風量が必要だとのことです。
また夜間放射で3〜4℃程度下げられる効果もあるとの事、夏も夜間冷却に活用できる可能性も検討したいところです。
その後、車で30分ぐらい移動し、ベンチ社が創業以来パートナーとして共同研究を行っている職業訓練大学へ視察の案内をしてもらいました。デンマーク中から学生から社会人まで集まってくるそうです。
学校な配置図です。結構大きい!
ここからはハンスさんと8年の付き合いのペーター教授が案内してくれました。
学校の施設です。ここは建築だけではなく様々な職業訓練が行える施設となっています。
が我々建築なので建築部分中心に案内いただきました。
これは気密測定器です。ここでは大工さんの訓練でも気密測定といった建築の性能面についての知識も身につける事になっているそうで幅広く対応出来る必要があるようです。
こちらはベンチ社の初期の取り組みで、この黒いパイプを不凍液が流れ、地中に熱をためて冬に地中熱ヒートポンプを行う実験のようです。実はベンチ社は今では空気専門ですが、設立当初は水の分野が専門だったそうです。
こちらが教室に設置されたソーラーウォーマーです。写真で見えにくいかもしれませんが屋根の上に乗っかっています。
こちらが室内のソーラーウォーマー温風吹き出し口
こちらが二酸化炭素濃度センサーです。
教室が使用されて室内の二酸化炭素濃度が高まるとソーラーウォーマーが作動し新鮮な温風が供給される仕組みになっています。教室の空気環境を保つために大きな換気風量が必要となりますがその外気が温まって供給されるので暖房負荷を大きく低減させることが出来ます。
こちらでも、とても多くの事・今後のテーマを得られた充実した視察となりました。