住まいから暑さ・寒さを取り除く
断熱屋のぼやき
様々建築関係の本がありますが、色んな意見や情報が氾濫している現在、知れば知るほどわからなくなっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この本はそういった方に(もちろんこれから建築をしようと考えている入門の方にも)是非読んでいただきたい名著です。
著者は北大の名誉教授で室内温熱環境計画の分野において、現在の基礎を築いてこられた大先生です。30年以上前に自邸で高断熱を実現し多くの優秀な研究者が荒谷先生の研究室から輩出されました。
普通なら「暖かい家」「高性能な家」と言った現在の表現とは違い、タイトルそのものが「住まいから暑さ・寒さを取り除く」となっています。建物にとって何が大切か考え方を学べる、そして荒谷先生の哲学が学べる本となっています。
それを象徴する表現として
・冬の外気は巨大な除湿装置。ただ温めるだけで大量の乾燥空気が得られる
・近代技術が得意とする有償である人工ネルギーの利用が欠点対応型であるのに対して、無償である自然エネルギーの活用は良さ発見型である。
・無償の自然エネルギーは独力では問題を解決し得ない弱さをもち、思い通りになる有償のエネルギーに隠れて目立たない
・無償のエネルギー(自然のエネルギー)は皆さんの廻りに満ち溢れている。それを有効に利用する技術が器としての建築と述べられています
そしてパッシブ換気も紹介されています。
読んで絶対に損はない本ですのでよろしければご参考下さい。